公演前夜
草刈麻紀(クラリネット)と田邊朋美(コントラバス)が、
それぞれの音色をあわせた。
開演
やわらかなジャズの香りをおびた響きが
白い空間を満たした。
Alec Templeton (草刈&田邊編)
:ポケットサイズ・ソナタ第2番
「あやとりあやちゃん」「おそくなっちゃった」「おしゃまさん」
次々と紡ぎだされる
こどもの頃の、どこか懐かしく、うつくしい旋律。
谷川賢作:むかしのこども いまのこども
幕間の後、あかりが消え、
暗闇の中二階から、クラリネットの音色が舞い降りてきた。
クラリネットの音が消えると、
こんどは、1階のコントラバスがそれに応える。
ふたつの音が天と地を行き交い、響き合う。
Jiri Pauer :クラリネットソロのための日々の独白 より
Hans Werner
Henze :「セレナーデ」(コントラバス・ソロのための)より
あかりが灯り、二人が並んだ。
草刈のパートナー大澤昌生(ファゴット)は
今日はステージマネージャーとして草刈を支える。
ベニ-・グッドマンのために書かれた
クラリネットとコントラバスのデュエット曲。
ふたつの音が自由になめらかに、絡み合う。
Morton Gould
:Benny’s Gig for Clarinet and Double Bass
アンコールは意外だった。
「いまやクラシックとジャズの境界線など無い」などと言いながら
客席から谷川賢作(ジャズピアニスト・作曲家)が二人に加わり、
ピアニカをまるで大きなアコーディオンのように奏した。
贅沢で楽しい3つの響きが空間を満たした。
響きの余韻を身にまといながら、
草刈と田邊は聴衆と共に、グラスを傾けた。
ジャズの旋律のように、グラスの中で、
スパークリングワインの泡が音を立てていた。
草刈は、
クラリネットとコントラバスのコンビネーションは、
珍しいけれど、何よりも「絵になる」と語っている。
草刈と田邊が描いた「絵」と、木管と絃が奏でるやさしくて楽しい響きは、
聴衆の記憶に美しく焼き付けられたに違いないと思った。
平河町ミュージックス実行委員会ワーキンググループ 木村佐近
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