公演当日の通し稽古に、
二人は、「A Crow」の作曲家 近藤譲を迎えて、
ひとつひとつの音符の意味をていねいに確かめた。
ソプラノサックスとフルートのために書かれた原曲を
ヴァイオリンとオーボエで奏でる世界初演のこの日のために。
開演
テレマン「2つの楽曲のためのカノンによる6つのソナタ」の
おだやかな音色に、
聴衆は一気にふたつの木のひびきに呑みこまれていく。
そして
雅楽を彷彿とさせる不思議な旋律、近藤譲「A Crow/烏」 。
林光「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ」とつづく。
後半の冒頭
古部が巧みな話術で楽器を説明したあと、
ブリテン「オウィディウスによる6つのメタモルフォーゼ」のストーリーを
1階の客席で山田がひとつずつ朗読し、
中2階の古部がオーボエでそれらを幻想的な音楽に変容してみせた。
モーツアルト「歌劇 『魔笛』 より」
作品のストーリーを、読み解きながら、
二人で奏でる。
アンコールに、ドンジョバンニなどを弾き終えたあと、
「いろいろなことがあった一年でしたが、
来年が良い年でありますように」と語り、
さいごにクリスマスメロディーを添えた。
聴衆は静かに激動の一年を振り返り、
ふたつのひびきの余韻に浸った。
卓越したそれぞれの技と、
夫婦の絶妙の間合いで生まれる美しい旋律は
この二人にしか紡ぎだすことのできない
貴重な「ふたつの木のひびき」なのだと思った。
平河町ミュージックス実行委員会ワーキンググループ 木村佐近
素敵なコンサートでした。あんな、身近でお二人の演奏に接することができるなんて…。ブログ・FBで自慢しました(笑)ただ A Crow だけは、良くわかりませんでした。近藤譲さんの監修もあったのですね。雅楽の笙とか、竜笛のイメージで、厳かな感じがしました。解説を拝見しますと、能なのですね。
返信削除贅沢な時間をありがとうございました。ワインも美味しかったです。