ブダペストにある恩師コヴァーチ・デーネシュの墓前で、
江原千絵が生前伝え切れなかった感謝の言葉を語りかけると、
「君はいつバルトークを発表するんだ?
と言う先生の声が聴こえたような気がしたのです。
先生が弾くとバルトークは難解な曲ではなく、素朴な歌に聴こえます。
折角先生に背中を押されたのですから、
私も歌に聴こえるように弾きたいです。」
江原がコンサートに先立ち、寄せた文章である。
休憩のあと、
クルターク・ジョルジィ「サイン、ゲーム、メッセージ」
高橋悠治「七つのバラがやぶにさく」とつづく。
高橋は、中二階で聴いていた。
終演後、そこから降りてきた高橋は穏やかな笑みをたたえていた。
偉大な作曲家の心を動かしたのだ。
最後に、
ハインリッヒ・イグナーツ・フランツ・フォン・ビバー「パッサカリア」
でコンサートを静かにしめくくった。
アンコールを弾く余裕がないほどのプログラムを終えた江原に
小沼純一が訊いた。
オーケストラアンサンブル金沢の第二ヴァイオリン主席奏者と
聴衆の前で初めて弾くソロの無伴奏ヴァイオリンの違いについて。
「オーケストラの首席奏者は、
信号のない3車線の交差点で交通整理をしているようなもの。
ソロで弾くことは、
誰も助けてくれない孤独でした。」
江原の言葉にその重圧の中を弾き抜いた安堵感が漂う。
江原千絵が生前伝え切れなかった感謝の言葉を語りかけると、
「君はいつバルトークを発表するんだ?
と言う先生の声が聴こえたような気がしたのです。
先生が弾くとバルトークは難解な曲ではなく、素朴な歌に聴こえます。
折角先生に背中を押されたのですから、
私も歌に聴こえるように弾きたいです。」
江原がコンサートに先立ち、寄せた文章である。
休憩のあと、
クルターク・ジョルジィ「サイン、ゲーム、メッセージ」
高橋悠治「七つのバラがやぶにさく」とつづく。
高橋は、中二階で聴いていた。
終演後、そこから降りてきた高橋は穏やかな笑みをたたえていた。
偉大な作曲家の心を動かしたのだ。
最後に、
ハインリッヒ・イグナーツ・フランツ・フォン・ビバー「パッサカリア」
でコンサートを静かにしめくくった。
アンコールを弾く余裕がないほどのプログラムを終えた江原に
小沼純一が訊いた。
オーケストラアンサンブル金沢の第二ヴァイオリン主席奏者と
聴衆の前で初めて弾くソロの無伴奏ヴァイオリンの違いについて。
「オーケストラの首席奏者は、
信号のない3車線の交差点で交通整理をしているようなもの。
ソロで弾くことは、
誰も助けてくれない孤独でした。」
江原の言葉にその重圧の中を弾き抜いた安堵感が漂う。
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