大田智美がアコーディオンを抱えて現れた。
今日のソロは、すべて野村誠の作曲によるもの。
他のホールでは滅多に聴けないプログラムに期待が高まる。
開演
あちらこちらにブー、ピーと、
ブタの姿が見え隠れするユーモラスな響き。
「ブタとの音楽」(2007)
そして、旋律が繰り返すことを意味する「オスティナート」(お酢と納豆)は
曲名がそのまま だじゃれ。
何だか楽しい。
だじゃれ音楽第4番「お酢と納豆」(2013)
野村誠と鶴見幸代の二人の作曲家が、
それぞれが作曲した曲をのせてブログ交換を続け、
できあがったブログ音楽について、大田が語る。
このブログは今でも「Tiara140+大作戦」
読むことができ、曲ができあがっていく様子がわかるという。
ブログで交わされる言葉や写真の情景が、
毎回A4一枚ごとの楽譜に置き換えられ積み重なった。
その楽譜が、大田のアコーディオンの匠の技によって
色鮮やかな音になって響きわたる。
野村誠+鶴見幸代「ブログ音」(NT-Blo.
Op.1)
休憩のあと
ブログ音楽がどのようにして創られたかを
大田が野村に聞いた。
ふたりのチャーミングな会話で会場に笑い声があふれる。
「ピーナッツクリーム私大好き」「クリームまぜまぜ」
「もんじゃ」「じゃがいも」・・・等
楽曲一つずつに付けられたタイトルと、
大田の紡ぎだす音から
ブログで切り取られたその時々の情景が
よみがえってくるようだ。
鶴見幸代+野村誠「ブログ音楽」(TN-Blo.
Op.1)
大田が「この曲に“宇宙”を感じます。平和の中で生命が昇華して宇宙になる。」
と語っているとおり、その響きは、伸びやかで、躍動感にあふれていた。
たんぽぽ組曲第2番「誰といますか」(2004)
鳴り止まない拍手にこたえアンコール曲を弾き終えた大田に
野村が駆けより、
アコーディオンごとハグして讃えた。
今 海外で極めて高い評価を受ける野村の楽曲を
プログラムにいっぱい詰め込んで、
その世界を思う存分表現し終えた大田は、
いつもと変わらない笑みをたたえていた。
まるで呼吸をするように、その場の空気を吸い込んで、
その空気を色鮮やかに染め上げるアコーディオンと同じように、
大田もまた、この空間と聴衆を楽しい色に染め上げたように思う。
平河町ミュージックス実行委員会ワーキンググループ 木村佐近
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