山田百子と古部賢一。
多忙なふたりにとって、
これが公演前の通し稽古。
おたがいの音を
確かめ合い、直していく。
開演
テレマン:
ふたつの楽器のためのカノン6つのソナタ
作品5より第3番 二長調
空間が、
いっきに心地よい旋律に満たされる。
クライスラー:
レチタティーヴォとスケルツォ・カプリース作品6
ひとつのヴァイオリンが、
色とりどりのひびきを弾き出す。
マンロー・リーフの『花の好きな牛』を
朗読とヴァイオリンのために仕立てた作品、
リド:
フェルディナンド~はなのすきなうし
目を閉じると、
しあわせな牛のものがたりが、
映画の場面のように浮かんでくる。
休憩のあと、
古部がオーボエについて語り始めた。
いつものように軽妙なことばを操り、
聴衆をひきつける。
ジェイコブ:
7つのバガテル
そのオーボエが白い空間を大きく鳴らす。
山田がヴァイオリンの奏法について
語った。
サントリーホールのアカデミーで
後進の指導にもあたるその語り口は流石。
べリオ:
34のデュオより
ふたりがえらんだ趣の異なる11の小品が
次々と美しいひびきに変えられていく。
このふたりのまわりには、
いつもおだやかな空気がながれる。
一方で、
前日の稽古からアンコールまでをとおして
それぞれが馴れあうことのない
音楽への厳しいこだわりが、
節々で垣間見えた。
寄り添う一対の木のように成長を続ける
素敵な ふたつの木のひびき だと思った。
平河町ミュージックス実行委員会ワーキンググループ 木村佐近
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