2016年9月3日土曜日

平河町ミュージックス第40回 ソウルのチェリストたち Seoul Solist Cello Ensemble を聴いた 20160901

前夜にソウルから来日した9人のチェリストたち
Song, Hee Song Noh, Myeong Kyuen Yoo, Jong Han Oh, Ju Eun Hur, Cheol Choi, Jung Eun Park Go Eun Jeong, Kwang Joon Tak, Yun Ji が、
公演当日、昼下がりの平河町にチェロを抱えて現れた。

開演 
8つのチェロから、それぞれ異なるパートの音色が飛び出し、うねるように重なり合い、
圧倒的な美しい響きとなって空間を揺らしはじめる。
David Popper Suite for 8 Cellos, Op.16 デビッド・ポッパー 8つのチェロのための組曲

8つのチェロにNoh, Myeong Kyuenがソロで加わる。
1つのチェロの晴れやかな響きを追いかけるように、8つのチェロが歌う。
のびやかな旋律と小気味の良いテンポにあわせ、聴衆が体を揺らす。
David Popper Hungarian Rhapsody for Cello Solo, Op.68 Solo; Noh, Myeong Kyuen ) デビッド・ポッパー ハンガリー狂詩曲

ふたたび、8つのチェロ
ドラマチックで、哀愁をおびた音の流れに、韓流ドラマの一コマを観ているよう。
David Popper Polonaise de Concert for 8 Cellos, Op.14 デビッド・ポッパー 演奏会用ポロネーズ


休憩のあと
まるで大きな河の流れのような、おおらかな響きに包まれる。
目を閉じると、小編成のオーケストラに囲まれているようで、とても8つのチェロだけが鳴っているとは思えない
Georg Goltermann Religioso ゲオルク・ゴルターマン レリジオーソ

一転して陽気なマンボのリズム。
時おりチェロを手のひらで打ち鳴らし、楽し気に タンタタ・タタン・タン、ウーー。
Wilhelm Kaiser Lindemann Mambo ヴィルヘルム・カイザー=リンデマン 6人のチェロ奏者のためのマンボ

韓国の人々が ふるさと を想うとき、口ずさむのがこの旋律だと言う。
日本の童謡にも似た懐かしく切ない響きが空間を染め上げる。
Hong, Nan-pa Spring of hometown 洪蘭坡(ホン・ナンパ) 故郷の春

プログラムの最後は、代表的な韓国の民謡 アリラン を編曲した楽曲。
たいせつな祖国への想いが伝わってくるようだ。
Park, Jong Yeop tales2 パク・ジョン・ヨプ 談話2

拍手が鳴り止まなかった。
アンコール曲を2つ奏でて、弓を置いた。


余韻の残る舞台で、一人一人の奏者が紹介された。
1つでも十分な響きを放つチェロが8+1並んだとき、
これほどまでに重厚で深遠なハーモニーが生まれるとは想像できなかった。
若いチェロ奏者たちは、それぞれが、みずみずしい才能にあふれるソリストで、その才能を持ち寄って生まれる重厚で深遠なハーモニーは、これからの音楽界に美しい光を放つに違いない。

右に、ソウルと平河町をつないだ崔海淑Hae Suk CHOI早稲田大学韓国校友会副会長が
中央で平河町ミュージックス佐野実行委員長がポスターを掲げる。そして満面の笑み。

美しい音楽に国境は無い。




平河町ミュージックス実行委員会ワーキンググループ  木村佐近