前夜にソウルから来日した9人のチェリストたち
Song, Hee
Song 、 Noh, Myeong
Kyuen 、 Yoo, Jong Han 、 Oh, Ju
Eun 、Hur, Cheol 、Choi, Jung Eun
、 Park Go Eun 、 Jeong, Kwang
Joon 、 Tak, Yun Ji が、
公演当日、昼下がりの平河町にチェロを抱えて現れた。
開演
8つのチェロから、それぞれ異なるパートの音色が飛び出し、うねるように重なり合い、
圧倒的な美しい響きとなって空間を揺らしはじめる。
David Popper
Suite for 8 Cellos, Op.16 デビッド・ポッパー 8つのチェロのための組曲
8つのチェロにNoh,
Myeong Kyuenがソロで加わる。
1つのチェロの晴れやかな響きを追いかけるように、8つのチェロが歌う。
のびやかな旋律と小気味の良いテンポにあわせ、聴衆が体を揺らす。
David Popper
Hungarian Rhapsody for Cello Solo, Op.68 (Solo; Noh, Myeong Kyuen ) デビッド・ポッパー ハンガリー狂詩曲
ふたたび、8つのチェロ
ドラマチックで、哀愁をおびた音の流れに、韓流ドラマの一コマを観ているよう。
David Popper
Polonaise de Concert for 8 Cellos, Op.14 デビッド・ポッパー
演奏会用ポロネーズ
休憩のあと
まるで大きな河の流れのような、おおらかな響きに包まれる。
目を閉じると、小編成のオーケストラに囲まれているようで、とても8つのチェロだけが鳴っているとは思えない
Georg
Goltermann Religioso ゲオルク・ゴルターマン レリジオーソ
一転して陽気なマンボのリズム。
時おりチェロを手のひらで打ち鳴らし、楽し気に タンタタ・タタン・タン、ウーー。
Wilhelm
Kaiser Lindemann Mambo ヴィルヘルム・カイザー=リンデマン 6人のチェロ奏者のためのマンボ
韓国の人々が ふるさと を想うとき、口ずさむのがこの旋律だと言う。
日本の童謡にも似た懐かしく切ない響きが空間を染め上げる。
Hong, Nan-pa
Spring of hometown 洪蘭坡(ホン・ナンパ) 故郷の春
プログラムの最後は、代表的な韓国の民謡 アリラン を編曲した楽曲。
たいせつな祖国への想いが伝わってくるようだ。
Park, Jong
Yeop tales2 パク・ジョン・ヨプ 談話2
拍手が鳴り止まなかった。
アンコール曲を2つ奏でて、弓を置いた。
余韻の残る舞台で、一人一人の奏者が紹介された。
1つでも十分な響きを放つチェロが8+1並んだとき、
これほどまでに重厚で深遠なハーモニーが生まれるとは想像できなかった。
若いチェロ奏者たちは、それぞれが、みずみずしい才能にあふれるソリストで、その才能を持ち寄って生まれる重厚で深遠なハーモニーは、これからの音楽界に美しい光を放つに違いない。
右に、ソウルと平河町をつないだ崔海淑Hae Suk CHOI早稲田大学韓国校友会副会長が
中央で平河町ミュージックス佐野実行委員長がポスターを掲げる。そして満面の笑み。
美しい音楽に国境は無い。